Y&Aからのお知らせ

【プレス】アパレル工連「ACCTシステム」 普及へ全国で説明会を開催

アパレル工業新聞 – 2018年8月1日 掲載
適正加工賃の算出を支援 同じ物差しで加工賃交渉

 日本アパレルソーイング工業組合連合会(アパレル工連、岩崎靖璋会長)は、縫製加工賃交渉支援クラウドサービス「ACCT(アパレルコストカリキュレーションテクノロジー)システム」の普及に取り組んでいる。同システムは縫製企業がアパレル製品の生産を受注する時点で、目安となる縫製加工賃を算出できる。縫製加工賃は、慣習的に製造原価を無視した小売価格からの逆算比率または指し値で決められることが多い。今回のシステムは単純に加工賃引き上げを要求するのではなく、工場側から標準的か価格を提示し、適正な価格交渉に道を開くのが狙い。厚生労働省の「平成二十九年度最低賃金引き上げ支援対策」助成金で開発、経産省も普及を後押ししている。アパレル工連では6月の東北アパレル産業機器展を皮切りに、岐阜、東京、大阪でシステム開発を担当したユカアンドアルファとともに説明会を開催、参加者に同システムの体験をしてもらいながら使い勝手の良さを紹介しており、今後も各地区で説明会を開く計画。縫製企業だけでなく、アパレル企業や商社などの関心も高いという。

 ACCTシステムは5月14日から運用を開始したもので、➀標準見積作成システム➁サンプル見積作成システムの二つのシステムで構成し、製品ごとに適正加工賃を計算できる。
選択画面
標準見積作成システムは取引先から引き合いを受けた時点で基本的コストの提示を簡単に即答するのが目的。サンプル見積作成システムは現物サンプル作成の各工程分析と実行時間を入力し、最終見積もりを作成できる。現時点でブラウス、ブルゾン、コート、ジャケット、ワンピース、パンツ、スカート、ベストのレディス8アイテムに対応し、各アイテムごとにアパレル工連が作成したデータベースを持つ。今後、カットソーやメンズアイテムも検討している。
8アイテム

–難易度を係数で–
 標準見積作成システムはアイテムを選択し、絵型や見本を見ながら仕様、ディテールなどをメニュー選択すると工程時間を自動計算できる。しかし、「これだけではどの工場も同じ加工賃になってしまう。品質の高い工場はそれなりの加工賃が必要」(アパレル工連)になる。これをクリアするため同システムでは製品ごとに関わる素材、裁断、ロットの係数、企業ごとに関わる工程、余裕率の係数を加味して生産時間を割り出す仕組みにしているのが特徴だ。
「素材係数」は、素材に関わる裁断・縫製の難易度を係数化し、難易度1=1、難易度2=1.3、難易度3=1.5、難易度4=1.7、難易度5=2.0と難易度の高いものほど高い値。
「裁断係数」は、裁断難易度を係数化し、無地=1、ストライプ=1.1、チェック=1.2と難易度の高いものほど高い値。
「ロット係数」は発注ロットの多寡を係数化し、10以下=4、11~30=3.5、31~50=3、51~100=1.2、101~150=1.1、151以上=1と発注ロットが少ないほど高い値。
「工程係数」は対象となる作業に含まれる工程の多寡を係数化し、工程の多いものほど高い値となる。標準見積作成システムでは同じデザインは同じ工程数で表示するため、クセ取りなど表示以上に手間を掛けることなどを係数化した。この工程係数は各社で自信のあるアイテムで見積もりを算出し、適切な係数を設定する。何型か見積をしていくとその会社の係数は自ずと固定される。係数がその都度変わる会社は係数で加減していることになり、同システムを使用しても相手先に信用されなくなる恐れがあるという。
「余裕係数」は、生地の持ち運び、取り置きなど直接縫製に含まれない時間の多寡を係数化するもので、余裕時間が多いほど高い値になる。

–2分で見積もり–
 こうして割り出したユーザー時間にユーザー時間単価を掛け、一着当たりの見積単価を算出する。ユーザー時間単価は各社の工場の年間固定費を年間の縫製直接人員の総時間数(秒)で割った値で、アパレル工連会員企業23社から各社の単価を算出してもらい、そのデータをもとに算出している。
この一着当たりの見積単価に外注費や運賃、糸代などの付帯費用も加えて「一着当たりの合計金額」を作成することができる。同システムを使うと、「製品の見積もりは2~5程度で完了」するという。
サンプル積算作成システムは、標準見積作成工程一覧から自社の基準に合わせて項目を追加・削除などの修正を行い、新たにサンプル作成時の見積書工程一覧表を作成することができる。現物サンプル作成の各工程分析・最終コスト判断・最終見積もり作成や生産工程編成に繋げることが目的。
係数
Excel

–クラウドで提供–
 ACCTシステムはクラウドで提供し、パソコン、タブレット、スマートフォンからアクセスでき、使用場所を選ばない。アパレル工連では「これまで発注側も受注側も同じ物差しが無かった。このシステムを使えばお互いに納得ができる加工賃設定が可能になる」という。
利用料は一アカウント当たり初回登録手数料が一律1万円、アパレル工連傘下企業は年間2万4千円、賛助会員(費組合員)は年間3万6千円。申し込みはアパレル工連またはユカアンドアファのホームページからアクセスする。現在、新規申込申請のユーザーは一カ月間無償で使用できる。

岩崎靖璋アパレル工連会長 –コミュニケーションツールに–
 現在、日本のアパレル業界には構造的問題がいくつかあるものの、縫製工場にとっては毎年の最低賃金アップによる労働コストの上昇、労働力の確保などの対策は待ったなしの状況です。また、アパレルにおいては国内生産のサプライチェーンの再構築に迫られています。
そもそもアパレル企業と縫製工場の関係は共存共栄のサプライチェーンの関係になく、対等なコミュニケーションを図るツールが欠如していたと考えられます。当連合会で開発したACCTシステムは合理的根拠の下で簡単に即答できる「標準見積もり作成システム」と、製品ごとの工程数、工程時間を実測、分析し、生産性を向上させる「サンプル見積もり作成システム」という二つのシステムで構成。これにより製品ごとに適正加工賃(価格)を算出できるシステムを開発しました。
普及の対象を組合員及び縫製企業とすることは当然ですが、アパレル企業への普及も重要です。アパレル企業も利用し縫製工場と「標準見積」という同じ土俵に立って、適正かつ調整可能なコストについて協議することに大きな意味があるものと考えます。
本システムは双方にとって真にタイムリーなコミュニケーションツールとして活用することができるものです。それによって「適正加工賃」という環境が出来上がり、アパレル企業と縫製工場が真の「共存共栄」に繋がるものと考えています。

アパレル工連HP  ユカアンドアルファHP

関連記事

ページ上部へ戻る