プレス
2021.06.16
「ACCT」改良版をリリース
アパレル工業新聞 – 2021年6月1日 掲載
「ACCT」改良版をリリース —デザインから簡単に見積もり—
日本アパレルソーイング工業組合連合会(アパ工連)は、縫製加工賃交渉支援クラウドサービスの改良版として「ACCT2.1」を6月末からリリースする。アイテムやデザインなどを選択するだけで簡単にコスト見積もりが可能な「シンプルセレクト見積」機能を新たに加えた。縫製工程の詳しい知識がなくても利用できるようになり、縫製加工賃の適正化に向け、あらためて発注先であるアパレルや商社などへの普及を目指す。
ACCTは2018年5月から運用を開始。これまで標準見積作成システム、サンプル見積作成システムの2つのシステムで構成し、製品ごとに適正加工賃を算出できるようにしてきた。
標準見積は取引先から引き合いを受けた時点で基本的コストの提示を簡単に行うのが目的。サンプル見積は現物サンプル作成の各工程分析と実行時間を入力し、最終見積もりを作成できる。素材、裁断、ロットや工程(グレード)、余裕率の係数を加味して生産時間を割り出す仕組みにしている。現在、ブラウス、ブルゾン、コート、ジャケット、ワンピース、パンツ、スカート、ベスト、パーカースエットシャツ、Tシャツ(カットソー)、シャツカラーニットシャツ、ポロシャツ、スエットパンツの13アイテムに対応、アイテムごとにアパ工連が作成したデータベースを持つ。
■縫製加工賃の適正化を支援
改良版で新たに追加したシンプルセレクト見積もりは、アイテムを選択し、身頃、袖、ポケットなどの部位のデザインを画像を見ながらクリックするだけでACCTのデータベースから標準工程や作業秒数が集計される。ボタン付け、ボタンホール、ベルト付けなどは新たに個数で対応できるようにした。また素材、裁断、ロット、工程(グレード)、余裕率の係数を加味して生産時間を割り出す仕組みだが、ロット以外の係数はデフォルト化し平均値を使えるようにする。
算出したデータは従来版と互換性があり、詳細な計算は従来のバージョンでできる。
縫製加工賃は慣習的に製造原価を無視した小売価格からの逆算比率または指し値で決められることが多いため、ACCTは縫製加工賃の適正化を支援するツールとして開発。利用者はピーク時に縫製工場、アパレル、商社など約80社に広がったが、現在はアパ工連傘下の会員工場を中心に約40社にとどまる。
詳細な工程の知識がないと使いにくいことや、実績をベースにした加工賃との乖離などが理由で、2.1版を提供することによって「経験値が浅い人でも簡単に見積もりが可能なシステムを提供し普及につなげたい」(山端康夫事務局長)という。縫製工場はもちろん、アパレルや商社、新興アパレル、DtoC(メーカー直販)ブランドなどでの利用拡大を狙う。専門学校など教育機関でも活用できると見ている。
開発を担当したユカアンドアルファでは「アパレル市場が縮小し、生産ロットが小さくなっているが、その中で工場も生き残れ、消費者も満足するモノ作りが必要」とし、業界全体で加工賃適正化の議論が進むことを期待する。アパ工連ではリリース後、セミナーなどを開き普及を図る。
ACCT利用者は1アカウント当たり初回登録料が一律1万円、アパレル工連傘下企業は年間24,000円、賛助会員(非組合員)は年間36,000円。申し込みはアパレル工連またはユカアンドアルファのホームページからアクセスする。
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